シンポジウム 日本企業の人事部 -その役割の本質と課題-

ここ2ヵ月いろいろあり、すっかり更新おらず、久々のブログ。。


今日は、会員登録している日本CHO協会からの案内で、
東工大の大岡山キャンパスでのシンポジウムに参加してきた。


お題は、「日本企業の人事部 -その役割の本質と課題-」
なかなか大きなテーマだ。


日本における人材マネジメント分野の大家である、
神戸大の金井さんや、一橋大の守島さんが発表者を務めるということ、
また、無料ではなく、参加するのに1000円かかるということで、
(「会費を払わせるだけの充実した内容だろう」と)期待に胸を膨らませて、会場へ向かった。


しかし、終わってみての正直な感想は残念ながら「いまいち。いまに。」という感じ。
テーマが壮大であるにもかかわらず、2時間という短い時間の中で、4名のプレゼンターが発表をする
というスタイルに無理があり、複数の教授が同じ場に参加するシンポジウムとしてのメリットが活かしきれていなかった。


しかし、神戸大の金井さんの話を初めて生で聴けたので、良かった。
相手が期待していることを踏まえて、場の空気を読みながら、プレゼンを進めており、「さすが」という印象だった。



以下は終了時に議事メモ的にとった記録。(備忘録として掲載)


■進み方
神戸大学とJMAMが2009年2ー3月に実施した人事部長と開発部長向けのアンケート結果をベースに、
複数の専門家の視点から「これからの人事部の役割やあるべき姿」について考えるというシンポジウムで、
進み方としては、各教授から30分ずつプレゼンが行われた上で、指定討論者からそれに対するコメントプレゼンがあり、
最後に会場との質疑応答という流れだった。


■所感
開始時間が遅れる、平野教授のプレゼンが難解、質疑応答が短いなど、運営面の不備が目立った。
特に平野教授は緊張からか、落ち着きのなさが目立っていた。


金井教授と中島さんのプレゼンのうまさ、聴衆の興味関心をとらえたシナリオづくりはさすがだと感じた。
(具体→抽象→具体という進め方)


サーベイについては、回帰分析、クラスター分析などある程度専門用語も仕組みや特徴を理解しておく必要があると感じた。



■学び・気づき

  • 金井さんプレから

「ラインマネージャーに対してサーバントリーダーであれ。」という人事部を含めたスタッフ部門への期待役割の重要性を認識。
人事部門が戦略的に機能しているかどうかを知るには、「戦略会議に人事部長が呼ばれるか?」というのがひとつの目安。


人事部長の自己評価よりも、開発部長からの人事部門評価の方が低い。
開発部長が人事を評価しているのは「管理(事務処理)のエキスパート」としての役割。


P&Gの場合、人事における事務処理機能や従業員支援はマレーシアにアウトソーシングしており、
戦略パートナー、変革エージェント、文化ガーディアンの機能を神戸のHRが担っている。


D.ウルリック著「人事の専門家のコンピタンス」2008年は読んでみたい


マーケティングファイナンスは明らかに専門性が高いが、HRはそうでもない。。
HRの専門性というものをいかにデータベーストなものにより高めていくかは今後の課題。

  • 守島さんプレより

成果主義の進展は、評価などの人材マネジメント機能を現場マネージャーにシフトさせてきたという意味で、
人材マネジメントの分権化につながっている。

人事部門は事務処理屋では評価が低くなる。
人材確保、制度の効果的運用、組織変革の推進が開発部長から期待されている3強。
製造業と比製造業では人事部門への期待値や評価は異なる。

  • 中島さんプレより

24時間戦えますか?(1991年のビジネスマン人材像)
・タスク処理型
・他律型モチベーション
バブル期までは、たくさんある仕事を、トップダウンの指示に基づいて
効率よくこなすことが求められていた。


最近は求められる人材像が変わってきている。
・知的創造型
・自律型モチベーション


現在、二つの資本主義ビジネスモデルがある。


A:金融資本主義
2割の人が8割の成果を叩き出す。
ネットビジネスベンチャー投資銀行コンサルタント
プロ野球選手のイメージ)


B:産業資本主義
全員が一丸となってこつこつと利益を積み上げていく。
製造、販売、管理(プロ野球チームの職員のイメージ)


AかBかという議論だけでなく、一国二制度(AとBの併用)があってもよいのではないか?
プロ野球選手と職員の人事管理制度は異なっていて当然。
また、それぞれに対する人事の役割も変わってくる。

  • Q&A 金井さんの話

創作落語からの引用。
宇宙人がきて、人間で役に立つ者を宇宙につれていくとしたら?
・落語家
「くだらないことをひたすらしゃべっている」なら不要。
「人を笑わせることで社会を元気にしている」なら必要。
「人事情報の管理と採用・育成・給与計算をしている」なら不要。
「人・組織に関わる問題解決を支援することで、組織のパフォーマンスを高めている」なら必要。
何をやっているかではなく、何をデリバリー(お届け)できるか、何によって貢献できるかという発想が大事。